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第34回セミナー





長野県CT撮影技術研究会 第34回CTセミナー開催についてのご報告


報告者:世話人 社会医療法人財団 慈泉会 相澤病院 山﨑茂美


2025年2月8日土曜日に相澤病院ヤマサ大ホールにて第34回CTセミナーが開催されました。今回のテーマは、「心臓CT検査の基礎知識と臨床応用」で、参加者は62名でした。当日は、北信、東信地域で降雪があり、参集の心配がありましたが、心臓がテーマだから頑張ってきたよと、言ってくれた方もいました。当日、ご参加いただいた方々には、深く御礼申し上げます。

心臓領域において、冠動脈CTA検査や心臓遅延造影検査など造影剤を使用して検査を行いますが、協賛メーカー様でもありますバイエル薬品株式会社より造影剤自動注入器について実導入施設のインタビューを動画で視聴しました。この造影剤自動注入器のメリットは、1日の業務開始前に造影剤自動注入器の付属タンクの中に造影剤と生理食塩水を充填しておけば、24時間以内であったら造影検査がスムーズに行え、今まで造影検査終了後にシリンジ製剤の中に残った造影剤は再利用できないため廃棄処分していましたが、この造影剤自動注入器を使用すれば、予め充填された造影剤から必要量だけ注入することができ、生理食塩水も無駄なく注入できるメリットがあります。また、エア抜きを自動で行ってくれる造影剤自動注入器となっています。従来の造影検査では、1患者1シリンジが主流となっていましたが、この機器の登場により無駄のない造影剤使用が可能となる先駆けを感じました。

心臓領域の画像解析ですが、ワークステーションを使用して解析を行います。今回は、アミン株式会社様と富士フィルムメディカル株式会社様より心臓領域のワークステーション「ここまで出来る」をご説明頂きました。アミン株式会社のワークステーションは自社独自の解析方法で心臓領域の解析時間を高速化することにより短時間で解析画像を提供することを可能にしました。一方で、富士フィルムメディカル株式会社のワークステーションはAI技術を搭載し、解析時間を高速化することにより短時間で解析画像を提供することを可能にしていました。両社の特徴が顕著に違い、ニーズにより施設にあったワークステーションを採用できると感じました。

 施設発表は、厚生連南長野医療センター様、厚生連浅間南麓こもろ医療センター様、長野中央病院様、相澤病院より各施設の冠動脈CTA検査の検査数や前処置方法、造影検査法など発表をしていただきました。各施設とも工夫をこらし患者さんのために検査を行っていることが伺われました。

 基調講演では、医療法人社団田貫会 高瀬記念病院 高柳知也先生に「心臓CT検査の質向上のための知識と実践」をご講演頂きました。高瀬記念病院では年間約2300件の冠動脈CTA検査を実施しており、前処置ではニトログリセリンを舌下しない施設でもあります。冠動脈CTA検査を実施した後、30分後には診察が始まってしまうため、冠動脈CTA検査の質向上をめざし、冠動脈のモーションアーチファクトがない画像を撮影している施設であります。そのために、前処置で使用される各種β遮断薬の効果・効能を把握し自施設の経験を踏まえ、適切な検査開始時間などを教えていただきました。また、心拍数と冠動脈CTA検査の最適撮影タイミングを洞調律の患者さんにおいて、RR時間、PQ時間と緩速流入期静止心位相の関係について数式を用いて解説していただきました。限られた時間内に冠動脈のモーションアーチファクトをβ遮断薬と最適心位相を数式より導き出す取り組みは、我々でも活かすことのできる有効な手段と感じました。

 特別講演では、医療法人社団健心会 みなみ野循環器病院放射線技術部長兼診療放射線技師長 望月純二先生に「新 心臓CTでわかること~最新CTで何がわかるのか~」をご講演頂きました。みなみ野循環器病院では年間約4200件の心臓CT検査を実施しており、冠動脈単純CT検査のみも実施しており、冠動脈石灰化の定期フォローを行っているそうです。SCCT(Society of Cardiovascular Computed Tomography)ガイドラインでは石灰化スコアは必須条件となっています。Agatston Scoreの数値が高いほど心血管イベントリスクが上昇する1)と言われており、多くの施設では、冠動脈CTA検査の中で冠動脈単純CTを撮影しAgatston Scoreを計測していると思います。私の知る限り、冠動脈単純CTのみを通常検査枠で運用している施設を初めて知りました。また、みなみ野循環器病院では心機能評価をCTで行っている施設で有名であり、冠動脈CTA検査後に心臓の遅延造影を施行している施設であります。この心臓CT遅延造影は、心筋繊維化や細胞外容積分画を画像化、数値化することにより、虚血性心疾患、拡張型心筋症、肥大型心筋症、心アミロイドーシスなどの疾患の検出に有用とされています。撮影パラメータを心筋評価用に最適化することで、心臓CTでもMRIと同等の遅延造影およびECVの評価が可能と言われています2)。望月先生が最後に伝えていた言葉が印象的で、心臓遅延造影CTは、心不全患者さんに有用な検査なので技師のほうから医師に提案しチャレンジしてみてください、と伝えていました。心不全患者さんが増大している昨今、包括的心臓CT検査を長野県からも発信できたらと思いました。

 今後もCT検査の知りたいを皆様に提供していきますので、第35回CTセミナーをご期待下さい。

 

1) 鈴木康之、他「冠動脈カルシウムスコア:臨床応用の現状と結果の取り扱い方」Journal of Cardiology、2022、79.5:567-571。

2)尾田済太郎、「心臓CT/MRIによる心筋評価」日獨医報、2023、第67巻:29-44。

共催メーカー

長野県CT技術研究会

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共催団体

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